デッキ
南側のデッキには車イスのまま出て菜園を楽しめる様にしました。家の 中にこもりがちの障害者の方でも日の当たる外に出る事が楽しみになれ ばと思います。
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玄関
建替える前の家を解体するときに残していた木材をいろんな所で再利用 しています。玄関の式台・大きな手摺・上り框・ベンチ・床の間の地板 等に形を変えて設置。木も喜んでいると思います。
外観
駅の近く、住宅街に位置する
洗面所
浴室のドアはリフトが通る為に天井まで高く造りました。ベッドから浴室までは裸となるので洗面には床暖房を入れて寒くならないようにしました。
浴室
ユニットバスでは無く在来工法のタイル貼です。2.1×2.1の広さでゆったり介護が出来ます。
階段
手摺はクネットフリーという波型の既製品です。 上る時には引っ張りやすく下りる時は支えやすく腰への負担が1/3になります。
キッチン・食堂
食堂のテーブルの高さは85センチに設定。車椅子もひじ置きに手を置 いた状態のまま入れて、足もテーブルの脚に当たらない様になっており、 イスとベンチの高さもテーブルの高さに合わせて高く設定しています。
リフト
ベッドから風呂まで直線で行けるリフトを設置。 ベッドから車イスに移る時にも使用します
リビング
ベットを置いた洋室とリビングの間には5枚片引きの建具があります。普段は開けて広々と使い、就寝時等は閉めてて分ける事が可能。壁は中霧島壁という塗壁で床はナラの無垢材です。
ゴミ置き場
窓からゴミ置き場のフタを開けてゴミを出せます。ゴミの収集時はゴミ置き場の扉を開けるだけです。
設計の経緯と特徴
●設計の経緯
70代の老夫婦と障害をもったご子息が住まわれる築50年の木造住宅の耐震診断の依頼を受けたことが設計の始まりでした。 雨漏りや阪神大震災の時に少し傾いたのが心配であるとの事でしたが、耐震診断の結果、やはり耐震性能は低く耐震補強を行うとすれば大きな工事となるものでした。 しかし、現状では段差の多い構造と狭い廊下などで介護をするには大変で、特にご子息の入浴は困難を極めていました。そこで介護と耐震の事を考えて建て直すこととなったのです。
●設計の特徴
お年寄りによる介護なのでスロープは極力排除し、上下移動はエレベーターを利用しています。玄関に入ると真正面にエレベーターの扉があり、45センチ上の1階にそのまま上がれます。ベッドと風呂を直線の最短距離で結びリフトを設置、台所・居間とベッドがひとつの空間となる配置等から1階の間取りを作り上げました。風呂は介護の為に大きく取り、天井はリフトのレールが居間から通ってくるので2.4Mと高くしました。 計画を進める中で彼が通っている施設にも赴き、ご子息の現状や将来の可能性等も聞かせてもらいました。その時に庭での菜園作業が好きだという事を聞きました。それが居間からデッキに出られるようにして、小さいながらも植栽スペースを作ることへと繋がっていったのです。彼が太陽の下で自分が育てたきゅうりを収穫しながらニコニコしている姿が目に浮かびます。 木材は構造材が吉野杉の自然乾燥材で、フローリングはカバやナラ等の無垢材です。
手洗い
2階手洗い
2階階段を上がった所にある手洗い。
フリールーム
2階フリールーム
将来3部屋に間仕切り可能なフリールーム。
和室
2階和室
畳は減農薬のい草を使用した特別製。床の間の柱は建て主自らが選んだ木です。
トイレの壁
トイレは将来車椅子で利用する事があった時には壁を撤去出来るようにしてあります。
エレベーター
車椅子でも玄関から55CM上の1階や2階へはエレベーターを利用して上がります。スピードは思ったよりも早いイメージがあります。
ベンチ
以前お父さんが喫茶店をしていた時のフローリングを建替え前の家の洋室の床に貼っていたのを再利用ここでお客さんとおしゃべりが出来ます。。